昔から食されてきた大衆魚を紹介します。
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日本人に親しまれている イカ

イカ

 イカは品種によって、皮のむき方や料理の作り方まで変ってくる。たくさんとれて家庭用にまわるのは、スルメイカ、ヤリイカ、ジンドウイカなどだが、料亭やすし屋で用いる身の厚いのは、アオリイカやコウイカである。イカの共通した特徴は、足が十本あって、背に甲があり、墨袋をもっていることなどである。
 ところが、足となるのは、タコ同様八木であって、他の二本は頭部の体内から、別に生じた触手なのだ。
 二本の触手は足にくらべて非常に長く、イボは先の方にのみついている。面白いのはコウイカの触手で、不必要のときは体内に隠れてしまう。魚屋から買ったコウイカの足を、八本だと思っている人は、頭部を開くと、ふところ手をしたように、たたみこんだ二本の触手が現われてくる。

 イカの甲はプラスチックのように薄く、透明なのもあれば、コウイカのように、石灰質でできた分厚いのもある。そして甲の立派なイカほど肉が厚い。またヒレの形からも、肉の厚さを判断することができる。
 スルメイカのように、肉の薄い品種は、ヒレが尾部へ偏っているし、またアオリイカのように肉の厚い品種は、ヒレが体の周りを取り巻いている。
 スルメイカはスルメを作るので、この呼び名があり、われわれとは一番親しいものである。新鮮なものは透明感があって、背の方に黒褐色の小さな斑点が密集し、黒くつややかに見える。指先でほじいて、斑点が明滅するようならば、まだ生活反能を示しているので、俗にこれを〝イカの提灯″という。古くなるにしたがい、斑点が消えて白くなる。
 イカの塩辛は、スルメイカの切身を肝臓であえ、少し発酵させたものである。スルメイカの肝臓は、寒さに向って大きくなるので、冬季に作って、一、二週間ぐらいが食べごろ。長くおくと、身がやせて味がおちる。富山名産の黒作りは、これをイカの墨で染めたものである。
 ヤリイカの一種を山陰地方でケンサキといい、尾部のヒレが尖っている。五島列島でとれるゴトウスルメというのはこれで、スルメの最上品である。
 ジンドウイカは、ヒレがスルメイカより大きく、表面に赤い模様があって、アカイカともいう。身が柔らかく、春先から初夏にかけて、相模湾や駿河湾でとれる。

 アオリイカはヒレが体の周りをとりまき、楕円形で外見もどっしりしている。甲は透明で薄い。身はゆたかで風味があり、刺身、スシだね、焼物などにする。伊豆ではバショウイカという。
 コウイカはアオリに似ているが、背に硬い甲をもっているので、たたくと音がする。体の背面に白色の斑点があるので、古くから紋甲イカとも呼ばれてきた。また墨で黒く汚れるのでスミイカともいう。尾部の小穴から黄色の液を出すので、シリヤケイカとも呼ぶそうだ。深い海にすむとみえて、底引網にかかってくる。
 地方的で変ったのにホタルイカがある。春から初夏にかけて、富山湾に群生するので有名である。胴の長さ4,5cmという可愛いイカで、体の各部に発光器があり、夜間の海でよく光る。ゆがいて冷たくしたものを辛子酢味噌で食べるとうまい。

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